株式会社スリーエフ
資料室 株式会社スリーエフ
見積りについて
見積もりは基本的には、自社の設計施工の場合も、設計事務所が設計した場合も、作業、考え方は変わりません。図面に基づいて見積もりをして、その金額と予算とを突き合わせ、現実的な数字へと近づけていく作業です。

設計事務所からの見積もり依頼は、こんなかたちでスタートします。

「X邸新築工事見積もり依頼書」
  • 図面 建築図・構造図・設備図・電気図・外構図
  • 書類 現況図・既存家屋図面 照明器具表
  • 見積もり内容 建築本体工事(建築・構造・設備・電気)
  • 外構工事 既存解体工事
  • 見積もり日程 現場説明会 200X年XX月XX日 XX時
  • 質疑提出締め切り   △月△日    
  • 提出締め切り   ☆月☆日 ☆時必着
提出期限めざして、見積もり作業のスタートです。

まずは、実際の工事をする職人さん、業者さんにもれなく、見積もり依頼をする、というのが、社内の仕事の第一段階です。

家1軒を建てるのに、かかわっている業者さんは、ずいぶんたくさんの数になります。大まかに、建築主体工事、電気設備工事、給排水衛生設備工事、ガス設備、空調換気設備、外構工事などに分かれているのですが、その中でさらに細かく分かれていきます。たとえば建築主体の中では、鳶、穴をほったりする土工事、コンクリートを打つ枠をつくる型枠工事、コンクリート工事、鉄筋工事、防水、屋根、金属、木工事、左官、タイル、内装、木製建具、金属建具、塗装、住宅設備、造作家具・・・・等々で、相当数に上ります。

わが社の場合は協力業者さんの中からいろいろな条件・・・建築場所に近い(工事にも、後々のメンテナンスにもいい)とか、職人さんが多数居る(工期が厳しくても対応してもらえる)とか、技術力が高い、とか・・・を加味して、依頼業者を選んでいきます。そうして同じ業種の中から2、3社選んで見積もりをお願いしていきます。おんなじ業種でもそれぞれの仕事の進め方や考え方の違いから金額が変わることもあり、各業者さんの見積もりをきっちりと精査するのも大切なポイントです。

担当者は、現地にも足を運んで調査します。道路はどんなか、どのくらいの大きさの車で資材の搬入ができるか。近隣の建物はどうか。スクールゾーンにかかっていないか、駐車場はどうか・・などなど。実際に工事をする時をイメージしての調査です。その上で図面をよく読み込んで、頭の中で実際に工事を組み立てていきます。



さて、各職種の業者さんに見積もり依頼書を送る、という作業が終わると、社内の担当者は、今度は自分で見積もりの数量を拾っていきます。

数量拾い・・たとえば、子供部屋Aに◯◯社のXYZという壁紙を貼るとすると、その面積を求めていくのです。立面図を見ながら、床の四周の長さに天井高を掛け合わせる。そこから、窓だのドアだのの面積を引いていく。・・・こうやって家中、全部を拾っていくのです。
床材別に床の面積から、基礎のコンクリートの数量、鉄骨や鉄筋の量、木造だと、木拾いもあります。・・・こうやって、各業者さんが拾うのとは別に社内でも同時進行で行っていきます。
実際の作業を始めるといろいろな疑問が出てきます。図面どうしのつじつまが合わない、とか、いろいろな解釈ができるけれども、こう解釈して良いですか?とか。業者さんからの質疑もいっぱい上がってきます。設計事務所に質問したり、業者さんに回答したり、場合によっては、業者さんに会社に来ていただいて、こういう考え方でいこう・・とを相談したりしながら作業は進みます。

また、指示のあった材料が馴染みの無いものだと、メーカーに問い合わせをし、サンプルを取り寄せたり、使用した職人さんから、情報収集したり、という作業も行います。とにかく実際に建築する場合に問題になりそうなことを、可能な限り制限時間の中で考え、方針をたてて、それに基づいて、見積もりをしていくのです。精度の高い見積もりは、それ自体が建設会社の力量を測る指標にもなるのです。

そうこうするうちに、業者さんからの見積もりが続々と上がってきます。何社かの業者見積もりを比較して、当社としての見積金額を決めていきます。
そして、決められた書式に従って見積もり入力がスタートします。

いろいろな考え方があると思うのですが、当社では、できる限り細かく入力していきます。
ドア1つでも玄関ドア一式__円とするのではなく、ドア本体はいくら、鍵がいくら、ドアクローザーがいくら、ハンドルがいくら・・と細かく記入していきます。そうすると、予算オーバーした時に、ハンドルをもう少し安価なものにしよう、とか調整がしやすいし、建て主の方も、どれがいくらなのか、理解した上での、増減ができる、というメリットがあります。
 入力は大変な作業です。 また「分厚い見積もりならいいってわけじゃない」とか「__ハウスメーカーの見積もりは5枚だったのに、どうして?」と疑問に思われる方もいらっしゃいます。でも、細かく入力していくことの意味を説明させていただくと、皆さん納得して下さいます。こうして見積書ができあがっていきます。

A:建築主体工事 ・・・
  • 仮設(シートで現場の周辺を囲ったり)
  • 土工事(地面に穴を掘る)
  • 型枠(コンクリートを流すための枠)コンクリート
  • 鉄筋
  • 鉄骨
  • 防水
  • 屋根
  • 金属(鉄骨階段だったり、テラスのフェンスとか)
  • 木工事(材木や大工さんの手間など)
  • 左官
  • タイル
  • 木製建具
  • 金属製建具(サッシなど)ガラス
  • 内装
  • 塗装
  • 住宅設備(ユニットバスとかトイレとか)
  • 家具
  • 雑工事(表札やポストなどなど)
B:電気設備工事・・・
  • 基本の電気工事
  • テレビや電話
  • インターホン
  • 火災報知機など
  • 照明器具
C:給排水衛生設備工事・・・
  • 給湯設備
  • 給水設備
  • 排水設備(水道や雨水の枡など)
D:空調換気設備・・・
  • エアコンや換気扇など
E:ガス設備・・・
  • ガスの配管や給湯器
  • TESシステムなど
F:外構・・・
  • カーポートとかフェンスや植栽など
G:諸経費・・・と続きます。

規模にもよるのですが、100ページ〜200ページのボリュームになります。
 
提出前には、落しは無いか、ダブリは無いか、何度もチェックします。そうして、もうひと頑張り。どこかもう少し工夫して合理的に節約できないか、それとも、もうギリギリなのか。担当者が社長と相談してさらに絞り・・これで提出しよう・・と決まってきます。ギリギリまで知恵を絞ります。
そうして、見積書は提出されます。

さて、提出した見積もりはどうなるのか・・
一般的なお話です。

設計事務所には、何社からかの見積もりが集まってきます。
それをもとに、どこに工事を発注するのか、検討を始めます。
見積書で、ずいぶんその建設会社の力量はわかるものだと思います。
見積もりの精度は、つまりどれだけ図面を読みこんで、実際に建てる場合を想定して、見積もりをしているか、ということなのですから。
そして、価格も大きなポイントです。精度が高くて、力量もあるだろう、そして価格が安い・・となればすぐにそこに発注、ということになるのでしょう。
でも、なかなかそんなふうにはいかないものです。
予算オーバーしていることがほとんどです。その中で、2社くらいに絞って、減額していくのです。
設計事務所も設計変更して知恵を絞ります。建設会社でも、減額案を提案していきます。第2回、第3回、そんなやりとりが続きます。回を重ねて、最終的に、発注先が決まってくる場合がほとんどです。

ダンピングをしてくる業者さんもいます。
そんなときは見積もりから降りることもあります。

どこかに無理があるのです。
業者さんたちにお願いして協力してもらう、ということならわが社もたくさんお願いしていますが、次の仕事でその分支払うから安くしてくれ、とか、もう次は無いぞ!なんて脅したりして減額を迫るなどという話も聞かないわけではありません。でもこれは最終的には、建物の品質に影響してくると思います。
建て主の方にとっても、前の現場の赤字分を支払わされているかもしれない、などとは許しがたいことです。
たくさんの人が協力しなければ家、建物は完成しません。
技術力を評価して、それに見合う金額をきちんと支払う。職人さんたちは、代価以上に、心をこめて、丁寧な良い仕事をしてくれます。
見積書の金額や数字だけからは読み取れない部分がたくさんあるのも現実です。
どこに頼んで家をたててもらうのか・・悩ましいですね。

会社ですから、たくさん見積もりをします。
是非、一緒に家づくりをさせていただきたい、工事を一緒に進めたい・・と思いをこめて作業をし、納得いくまでいろんな努力をして、提出するのです。

結果は・・・受注できることもあれば、当然ながらご縁が無いこともあります。
この繰り返しです。

受注させていただいたら、早速業者さんと着工の準備。
受注できなかった時は、区切りをつけるために、心の中でそっとやっている儀式があります。
 「わが社でご一緒できなかったけれど、どうぞ楽しい家づくりができますように。そして良い建物が完成しますように。陰ながらお祈りします。」